
静かな場所に入ったときだけでなく、仕事中や移動中にも「キーン」という音が頭の奥に残っているように感じる。耳鼻咽喉科で検査を受けても「異常なし」と言われ、このまま付き合っていくしかないのかと不安になる方もいると思います。
たけちはり灸院のたけちです。この記事では、耳鳴りが続いているときに、音の大きさだけを見るのではなく、一日の中でどのように変化しているか、体にどのような負担が重なっているかという視点から確認していきます。
先に全体像を確認したい方は、耳鳴りの症状ページもあわせてご覧ください。この記事では、日常で確認しやすいポイントから順にお伝えします。
耳鳴りの変化と体の負担を一緒に確認しましょう
耳鳴りが続いていると、「昨日より大きい」「今日は少し静か」と音量ばかり気にしてしまいがちです。
ただ、日常生活の中では、耳鳴りの感じ方がずっと一定とは限りません。
朝はそれほど気にならないのに夕方になると目立つ、仕事が終わったあとに強く感じる、休日になると少し楽に感じるなど、時間帯や過ごし方によって変化する方もいます。
こうした変化を確認するときは、「耳鳴りがあるかないか」だけではなく、
といったことを見ていくと、自分の体に負担がかかりやすい場面が分かりやすくなります。
耳鳴りの音そのものを細かく追いかけるより、「どのような一日を過ごしたときに変化するか」を記録するほうが、生活を見直す手がかりになることがあります。
一日の後半になるにつれて、耳鳴りが目立ってくる方もいます。
午前中は体に余裕があっても、仕事や家事を続けるうちに首や肩へ力が入り、姿勢も崩れやすくなります。
特に、パソコン作業やスマートフォンを見る時間が長い方は、気づかないうちに頭が前へ出た姿勢を続けていることがあります。
さらに、集中している間は呼吸が浅くなったり、肩を持ち上げたまま作業していたりすることもあります。
そのため、「夕方になると耳鳴りが強くなる」と感じる場合は、その時間帯の音だけを見るのではなく、一日を通して首や肩にどのくらい負担が積み重なっていたかを振り返ってみるとよいでしょう。
横になっている、仕事を終えて家に帰っている、休日で予定もない。
それでも体の緊張が抜けず、耳鳴りが気になって仕方がないという方もいます。
体を休ませていることと、体の力が抜けていることは必ずしも同じではありません。
肩が上がったままになっていないか、歯を食いしばっていないか、眉間や顎に力が入っていないかを確認してみてください。
無意識に力が入る癖があると、本人は休んでいるつもりでも、首や肩まわりは緊張した状態が続いていることがあります。
「休む時間を増やす」だけでなく、「体に力が入ったままになっていないか」を確認することも大切です。
耳鳴りには日によって波があるという方も少なくありません。
そのような場合は、症状が強かった日の前後を振り返ってみてください。
残業が続いていた、睡眠時間が短かった、長時間車を運転した、人と話す時間が多かった、食いしばりが強かったなど、いくつかの条件が重なっていることがあります。
一つ一つは大きな負担に感じなくても、複数の負担が重なることで体が休まりにくくなる場合があります。
逆に、耳鳴りが少し気になりにくかった日についても、「よく眠れた」「外を歩いた」「仕事量が少なかった」などの共通点がないか確認してみましょう。
症状が強い日だけでなく、比較的楽だった日の状態も見ることで、自分に合った過ごし方が見つけやすくなります。
耳鳴りの相談で体を確認していると、首の前から横にかけて強く緊張している方がいます。
その中でも確認することが多いのが、耳の下から鎖骨へ向かって伸びている胸鎖乳突筋です。
この筋肉は、首を左右に向いたり頭を支えたりするときに使われます。デスクワークやスマートフォンを見る姿勢が続くと、負担がかかりやすい部分でもあります。
ただし、胸鎖乳突筋が硬いから耳鳴りが起きていると判断するわけではありません。
首を動かしたときの左右差、肩の高さ、頭の位置などとあわせて見ながら、どこに力が入りやすいのかを確認する一つの目安として扱います。
自宅で触れる場合も、強く揉む必要はありません。軽く触れて張りを確認する程度にとどめ、痛みや違和感がある場合は無理に刺激しないようにしてください。
耳の近くにある顎関節も、体の緊張を見るときに確認したい部分です。
仕事中に歯を食いしばっている、朝起きると顎が疲れている、口を開けたときに左右差を感じるといった方では、顎まわりに力が入り続けていることがあります。
顎が緊張している方は、首や肩にも同時に力が入りやすいことがあります。
そのため当院では、耳だけを見るのではなく、口を開け閉めしたときの動きや、左右の使い方に差がないかも確認します。
顎関節の状態だけで耳鳴りを説明することはできませんが、体全体の緊張を知るための一つの手がかりになります。
「耳鳴りについて相談したいけれど、鍼は怖い」と感じる方もいると思います。
当院では、鍼だけでなく、背骨をやさしく揺らしながら体の状態を確認するDRT整体も取り入れています。
背骨まわりの動きを確認しながら、首や肩だけに集中している力をゆるめていくことを目的としています。
強く押したり、大きくひねったりする施術ではありません。
耳鳴りがあるから耳の周辺だけを施術するのではなく、背骨の動きや首・肩、顎などを含めて、体のどこに緊張が集まっているかを見ていきます。
鍼に抵抗がある方には、体の反応を確認しながら進める方法の一つとして提案しています。
耳鳴りの相談で来院された場合でも、音の種類だけを聞いて終わるわけではありません。
たとえば、
といったことを確認していきます。
耳鳴りそのものは耳に感じる症状ですが、その人が普段どのような生活をしているかによって、体に集まる負担は異なります。
同じ「キーン」という耳鳴りでも、長時間のデスクワークが続いている方と、睡眠時間が不規則な方では、確認したい部分も変わってきます。
そのため、一人ひとりの生活の中で「どこに負担が集まりやすいか」を見つけていくことを大切にしています。
耳鳴りが続くと、何か特別なセルフケアをしなければいけないと思う方もいます。
しかし、新しい運動や強いマッサージを増やすより、まず負担になっていることを減らすほうが取り組みやすい場合があります。
たとえば、長時間座り続けているなら一度立ち上がる、スマートフォンを見続けているなら画面から目を離す、肩に力が入っていることに気づいたら一度力を抜く、といった小さな見直しです。
「何をすれば耳鳴りが消えるか」と考えるより、「今の生活で体に負担をかけていることは何か」という視点で確認してみてください。
続けやすい小さな工夫から始めたほうが、日常生活にも取り入れやすくなります。
耳鼻科と治療院では、確認する視点が異なります。
耳鼻科では、聴力検査などを通して耳の状態を確認し、治療が必要な病気が隠れていないかを医学的に判断します。状態に応じて、必要な検査や治療が行われます。
一方、当院では、首や肩の緊張、背骨の動き、姿勢、睡眠や生活リズムなど、日常生活の中で体に負担がかかっている部分を確認していきます。
耳鳴りがあるからといって、最初から首や肩だけに原因を求めることはおすすめしません。
急に耳鳴りが始まった場合や、聞こえ方に変化がある場合は、まず耳鼻咽喉科で耳の状態を確認することが大切です。
必要な検査を受けたうえで、大きな異常が見つからず耳鳴りが続いている場合には、次の段階として首や肩の緊張、顎の動き、姿勢、睡眠、仕事や家事による負担などを確認していきます。
つまり、
まず耳鼻咽喉科で耳の状態を確認し、その後に首・肩・背骨・生活習慣を見直す
という順番です。
耳鳴りを一つの原因だけで考えず、必要な医療機関での確認と、日常生活の中での体の負担を分けて考えることが大切です。
耳鼻咽喉科で必要な検査を受けたうえで、胸鎖乳突筋や顎関節、首や肩の緊張、背骨の動き、生活習慣なども含めて確認したい方は、たけちはり灸院へお気軽にご相談ください。